2006年05月24日

自分の思考を浄化しよう。

自分の思考の浄化と管理をしよう

 

「今後の企業人には創造性が必要である」という表現をそこかしこで見かけることが多く、また講演会などではかまびすしいほど耳にする。ことばを置き換えるならば「人間よ、もっと考えようではないか」という風にも聞こえなくはない。

 

人間を定義する表現はいろいろある。

ホモ・ファーベル=道具を使うヒト(哲学者:ベルグソン)

ホモサピエンス=知性あるヒト (博物学者:リンネ)

ホモルーデンス=遊ぶヒト (歴史学者:ホイジンガ)

 

ところで、『創造』は『デザイン』という言葉に通底するように思える。

 

ある行為を望ましい予知できる目標へ向けて計画し、整えるということがデザインのプロセスの本質であり、意味ある秩序状態を作り出すために意識的に努力することである。

 

こう定義づけたのは、フランクロイドライトの弟子で、カリフォルニアインスティチュート・オブ・ジ・アーツの学長を務めたヴィクター・パパネック(1925-1999)である。彼は自著『生き延びるためのデザイン(晶文社)』の中で、環境に対する製品開発側の責任を唱え、工業デザイナーに向けて警鐘を発していた。

 

いまやデザイナーは危険な人種となった。マス・プロダクションのなかで、人目をひく、《刺激的》なだけのデザインがまかり通り、不必要なだけでなく有害な製品が地球を汚しつづけている

 

パパネック教授は、既存のデザインとデザイン教育に真っ向から異議をとなえ、われわれが真に必要とし要求しているものを探りつつ、豊かな思考に支えられた数多くのデザインを生み出していく。とりわけ、《巨大な少数者たち》---第三世界の人々、病人、老人、身障者---に向けてデザインした製品は独創的だ。

 

空き缶利用のラジオ、手で組み立てるテレビ、人力で動く車など数多くの製品デザインを手がけユネスコの専門委員として発展途上国の生活向上にデザイン面で尽力した。その基本は使う人間とそれを使う環境とに配慮したデザインであり、教授の切り拓いた生態学的デザインである。

 

前掲書で教授はこれからのデザイナーが正しい道を歩むためのヒントとして

 

「工業デザインが見落としている(この書を著した1971年時点で)6つの大切な領域」を示唆している。

 

1: Design for Underdeveloped Areas

(低開発地域のためのデザイン   20億人以上の人々がもっとも基本的な道具や器具を切実に要求している)

 

2: Design of teaching and training devices for the retarded, the handicapped, the disabled

(知恵遅れの子、肢体不自由児、恵まれぬ子供たちの教育・訓練用器具のデザイン   アメリカ人の家族の10分の1が脳性小児麻痺、筋無力症、モンゴロイド・クロチン病にかかったり、その他多くの病気や事故で不具者になっている。世界中ではおよそ4億に及ぶ)

 

3: Design of medicine, surgery, dentistry and hospital equipment

(内科、外科、歯科用器具および病院用設備のデザイン)

 

4: Design for experimental research

(実験研究用器具のデザイン: 研究を進めている多くの実験室では、たいていの器具は古臭く、粗雑で、間に合わせモノで、値段も高い。動物を固定しておく装置、立体脳髄切開器具、および走触性の検査に使う器具類のすべては、デザイン的によく再検討してみる必要がある)

 

5: System design for sustaining human life under marginal conditions

(極限状態のもとでの人間生活を支えるためのシステムズ・デザイン: 人間と機械を守るための全体環境のデザインはますます重要になってきている。人間がジャングルや北極や南極を征服するにつれて、新しい種類の環境デザインが必要になってくる。)

 

6: Design for breakthrough concepts: many of our products have by now reached a dead end in terms of further development. Designers merely add more and more extra gadgets rather than re-analyzing the basic problems and trying to evolve totally new answers.

(画期的な着想のデザイン: われわれの使っている製品の多くは、将来の発展という点からみてすでに行き止まりの状態に達している。デザイナーは、基本的な問題を再検討して全く新しい解答を引き出そうとするのでなく、もっぱら不必要な余分のものをつぎつぎに加えるだけである。第一世界や第二世界における自動皿洗い機は一年に数十億ガロンの水を浪費する。)

 

すでにこの書が著されてから30年が経過し、パパネック教授が示したいくつかの領域には大きな進歩が見られているものの、さらに積極的に取り組みがなされるべき領域がある。ところで、ここに綴られている文中の数字にはいかほどの改善が見られたのかは考える必要がありそうだ。教授の唱えた「生態学的デザイン」は、マクロスコープの視点から物事を捉えるとことの大切さを訴えているような気がする。そして、そこに新たな発見や発明の芽が隠れているのではないだろうか。

 

ジェームズ・アレンが “AS A MAN THINKETH(原題)” を世に出したのは1902年だ。

最後に、今なお自己啓発書として世界中で高い支持を得ている本書の中から【賢さ】について引用してみよう。

 

人類は今なお、激情とともに突進し、悲しみの中で取り乱し、

不安や疑いの風に吹き飛ばされ続けている。

心の中の風や嵐を見事に従え生きているのは、

自分の思考の浄化と管理を成し遂げている、ほんの少しの、

真に賢いものたちのみである。

posted by ohagi2778 at 20:57| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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